第３回のインタビューは、
スタジアム（京セラドーム大阪・スカイマークスタジアム）のビジョン（電光掲示板で動画が流れる部分です）を担当されている武藤さんです。

 －　日本の大学と違って、すごく実践的なんですねぇ。
 
はい、最後のインターンシップは、大学があったボストンで野球のマイナーチームへ行きました。
その頃には、自分がやりたいのは経営ではないなと思い始めていて、ちょうど『ビデオボード』（日本では『ビジョン』と言っている）の担当をやりたい奴は？という投げかけがあったので、手を挙げました。
そこで、実際に現場で働いている人たちから指導をしてもらったんです。
 
－　それから、アメリカの野球チームに就職されたんですか？
 
制度として、卒業から１年間はお試しの就労ビザが出るんです。
これは裏返せば、１年の間でフルタイムで働く場所を自分で探しなさいというシステムで、１年後にフルタイムでの仕事を確保しなければ正式なビザは出ません。
 
－　何となくアメリカ的で合理的な感じです・・。
 
それで、卒業後はヒューストンアストロズで働きました。
ここでは、仕事のチームの人たちから、音と絵の使い方をすごく教わりました。
スタジアムに来たお客さんを楽しませるエンターテインメントの部分がとても大事にされていて、
日本に比べてハードもソフトも優れているなと感じます。
ただ、経営感覚については疎いスタッフが多いかもしれません。
だから、枠にとらわれない発想ができるのかもしれませんが。

－　実際のビジョンのお仕事とは、どんなことをするのですか？
 
全部です（笑）、担当が自分ひとりしかいないので。
映像の企画を考えて、自分でビデオ撮影して、編集もして、ＤＶＤに保存して、ビジョンを制御する部屋に持ち込みます。
当日のオペレーションは、さすがに技術者に頼みますが、試合中は常につきっきりです。
試合展開によって、出し方を変えたりもしなくてはいけないので。
 
－　かなり大変そうですが、やりがいみたいなことは？
 
ヘッドショットという打席に立つ選手の映像を流すのは、日本では自分が最初に取り入れました。
そんな試みがいろいろできることは楽しいですね。
あと、通訳の時に選手に近い位置にいて親交があるので、けっこう無理なお願いなんかも選手が聞いてくれます。
よく選手がこんなのやってくれたなという企画もうちの売りです。
 
－　休みはどうなってるんですか？
 
球団が遠征の時はまとめて休みが取りやすいのはメリットですね。
その間に、企画の仕込みや制作はやらないといけないですが。
シーズンオフは楽になるのかと思ったら、公式Ｗｅｂサイトの選手に近いコンテンツは
全部自分の担当になってるのでそっちの仕事もやってます。

－　お忙しい中、ありがとうございました。
　インタビューに全然載せきれないほど、自分の興味も兼ねていろいろ聞かせていただきました。
　裏方さんインタビューはいつも楽しいです。