男と女の「おかしな!?」ハナシ
あなたの身の回りにも時々起こる、
「これってどうなの?」
「おかしくない?」という話。
このコーナーでは、毎回、
「男と女のちょっとおかしな!?ハナシ」を、つぶやいてもらいます。
家事を手伝っても、どうして妻は文句言う!?
今回のつぶやき主は金田さん。
職場のお昼休みに
家事分担について同僚と話しています。
金田:浦島さん、愛妻弁当いつも美味しそうですね。うらやましいなぁ~。
浦島:愛妻弁当か~(笑)。実はこれ、僕が作ったんだよ。
共働きだから食事の担当は主に僕なんだ。妻より僕の方が料理は得意なんでね。
桃田:えっ?食事の担当って、毎日のお弁当だけじゃなくって?夕食とかもですか?
浦島:そうだよ。だって、お弁当だけって逆に作りにくいでしょ。
冷蔵庫の中の物、どれを使っていいかわかんないし・・・。
だから食料品の買い物も基本、僕が行っているよ。
金田:俺、料理は無理ですけど、ゴミ捨てとか、風呂掃除とか、たまに掃除機もかけるし、洗濯物も取り込んで畳むところまでやってますよ。
そうそう、食事の後片付けも俺の仕事です。
いやぁ~こうやってみると俺もかなり頑張ってるんですけどねぇ。
なのに、ウチの妻は何でかわからないけど、いつも不機嫌なんですよ。
桃田:金田さん、見かけによらず頑張っているんですね!
ウチなんか、嫁さんが今月から産休に入ってずっと家にいるから、すべて任せっぱなしですよ。
でも子どもが生まれたら少しは手伝わないといけないだろうなぁ。
浦島:そうだな・・・ (苦笑)。
家事というのは洗濯ひとつとっても、洗剤が無くなる前に買って、詰め替えて、天気とにらめっこして、洗濯する物を集めて、洗濯機を回して、干して、畳んで、引き出しにしまって、時にはシーツなんかも洗って・・・と、目に見えないたくさんの作業の積み重ねなんだよね。
そこに気づくかどうかが一番大事なことかもな。
◆浦島のつぶやき・・・
僕は母を早くに亡くして、父親と男二人で暮らしてきたから、子どもの頃から、家事はできる方ができる時にやるのが当たり前だった。
だから結婚しても普通に家事はするものだと思っていた。
なのに「男なのに家事ができるってすごい」って絶賛されると、何だか違和感を覚える。女の人が家事をしても、特に褒めてもらったりされないのにな。
◆桃田のつぶやき・・・
結婚するまでは母親、結婚してからは嫁さんが当たり前のように家事をしてくれているから、完全にお任せだったけれど、浦島さんと金田さんの話を聞いて、ちょっと形勢不利になってきた気がするなぁ・・・。
◆金田のつぶやき・・・
浦島さんの話を聞いて、気づいたわぁ。
俺、よそのダンナに比べたら結構、家のことをやってるのに、なんで妻はいつもあんなに不機嫌なのかなぁと思っていたけど、俺のやっていることって、家事全体から見たら、ほんの一部だけだったんだなって。
浦島さんはしっかり「分担」してるけど、俺のは「手伝い」でしかないってことだよな・・・トホホ。
桃田も「少しぐらいは手伝わないと」なんて言ってるけど、そんなことじゃ、いずれ嫁さんから痛い目に遭わされるぞ。
ミニ知識
~「名もなき家事」という言葉を知っていますか?~
大和ハウス工業が2017年に、子どもがいる共働きの夫婦に対して「家事」に関する意識調査を行いました。
その中で「掃除」「洗濯」「料理」といった代表的な家事に含まれにくい、生活の中の小さな作業や見えない負担を「見える化」し、それを「名もなき家事」と名付けて、大きな話題になりました。
《名もなき家事の例》
たまったゴミを捨てる、食事の献立を考える、調味料を補充・交換する、ゴミを分類する、トイレットペーパーがなくなった時に買いに行く、手洗い場のタオルを取り換える、新聞や雑誌などをまとめて捨てる、クリーニングに出す・取りに行く、町内やマンションの会合に出席する、ペット・植物の世話、ポストに入っていた不要なチラシの処分等々・・・。
アンケート結果によると、これら「名もなき家事」の担い手の9割は女性。
そもそもこれらの見えにくい家事を「家事」として意識すらしていない男性が圧倒的に多いということが明らかになりました。
さて、皆さんのご家庭では「名もなき家事」、どう分担していますか?
参考:https://www.daiwahouse.co.jp/column/lifestyle/dual_income/
横からちょっと言わせて
弁護士で、不惑を越えてからの子育てに奮闘中の中村衣里さん
3歳になったばかりの息子を見ていると、いわゆる「おままごと遊び」が大好き。
家でも、保育所でも、何やらサンドイッチらしきものを作ったり、ハンバーグのお皿を作っては、「どうぞ」などと言って私に振舞ったり、お友だち(女の子、男の子とも)とやりとりをしています。
それから、洗濯ものをたたんだり運んだりといったお手伝いにも積極的です。
そんな姿を見ると、せっかく芽生えた家事労働?に対する意欲を摘まないようにと思いますし、そもそも人間には、どちら(の性別)が家事に向いているということはなく、「主に家事は女性が担うもの」といった役割意識や価値観をつくり、型にはめてしまっているのは、この社会や大人たちなのかもしれないとも思います。
考えてみれば、男性だけでなく、女性も、実は誰もが、最初は、炊事、洗濯、お料理と、どれをとっても「素人」なはずです。
それなのに、特に「結婚」をすると、その途端に、これまで実家で家事なんて一切してこなかった女性に対してであっても、「妻は家事ができて当然」という「期待(幻想?)」が、結婚したばかりの夫にも、周囲の人にも、そして他ならぬ女性自身にも生まれるのです。
特に日本では、「女性」が「家事」に費やす時間が、諸外国に比べて長いのが特徴と言われています。
ところで、この女性に対する家事労働への「期待」。
まだ夫婦二人だけの頃にはなんとかそのプレッシャーに耐えられていた女性たちも、次に、子どもが生まれ「育児」が始まると、もはや耐え切れなくなり不満が爆発するということが多くみられます。
ただでさえ育児に時間をとられるなかで、これまでと同様に妻に対する「家事」への期待が続き、実際にも夫と「家事」や「育児」の負担をシェアできずに悩んでいる女性は多くいらっしゃるのです。
離婚のご相談を受けたり、裁判手続き(調停や裁判など)に関わる中で、夫婦二人のときには問題がなかったのに、子どもが生まれた後から、夫婦の間の不協和音が高まったというご夫婦は多いと感じます。
また、離婚問題に直面している男性から妻への不満の内容として、「(妻が)食事を作らない」と訴える人は本当に多く見受けますが、反対に、女性から夫への不満として、「(夫が)食事を作らない」ことをあげる人はほとんどいません。
このあたりも、世間一般に、いわゆる性別役割分担意識が深く根付いていることを感じるエピソードです。
家族、家庭というのは、本来、すべての構成員にとって「居心地の良い空間」であるばずです。
そしてそれは、誰かの負担や犠牲の上に成り立つものではなく、家族みんなで時間やアイデアを出し合って(時には家事の「外注」という選択も含め)、ともに作っていくものだと思います。
そうは言いながら、我が家でも、家事や育児の分担問題は「火種」のひとつです。
役割分担に関する意識や価値観自体について、私自身もパートナーも克服ができていると思っていたのですが、実際のところは、残念ながら<いまだ道遠し>なのかもしれません。
そこで冒頭の話にも戻りますが、少なくとも次の世代にはこの問題を残さぬよう、私たち周囲にいる大人は、子どもたちをその男女を問わず、小さな頃から、それこそ家事の「お手伝い」に参画させるなどして、将来の充実した家族・家庭生活の素地作りにつながるよう意識することが大切なのではないか。
そう実感する毎日です。
原稿担当 : NPO法人 あなたらしくをサポート(愛称:らしーく) イラスト : 林やよい ※このイラストを利用されたい場合は「NPO法人あなたらしくをサポート」nporasiku@gmail.com までご連絡ください。
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